人は、いろいろな課題解決に直面します。難しいものから簡単なものまで、いろいろな課題に直面し、課題解決が成功したり失敗したりしながら生きていきます。課題が算数の問題のようであれば、正解があるので苦労しません。しかし、実際には、課題には、無数の回答があり、どれが正解かもわからないのが実情です。
高野山大学の添田学長がYouTubeで述べられていたクイズに『3つのリンゴを母親が、2人の息子にご褒美として与えました。あなたが弟の立場なら、この3つのリンゴをどのように分配したいですか?』というものがありました。
このクイズは、意外と人間社会の本質をついているのではないかと思います。この回答は、立場、時間、基本的な考え方、ルール、条件などのベースをいろいろ組み合わせることで無数の回答があります。例えばリンゴの分割が精密にできるならば、各立場の欲望の度合いに応じて無数の分配ケースが可能です。時間的条件を入れれば、いつどのように分配するかも無数に設定できます。息子たちの体調に応じて条件設定もできます。
つまり、一般的な課題には無数の解決方法があり、我々はその解決方法の中から現時点での関係する人が納得できる最適解を探すことになります。そのためには、関係者が合意したベースを決める必要があります。
しかし、ベースを決めるのが難しいのです。このベースを決めること自体が、無数の組み合わせがあったりして、大きな課題になることもあり、そうなると、課題解決は身も蓋もありません。
そこで、絶対的な正解はないことを受け入れた上で、全員が納得いくレベルでベースを決める必要があります。つまり、課題解決では失敗するリスクをとるということです。この場合、注意しなければならないのは、該当する課題解決が、リスクをとるに値するかは十分検討する必要があります。そして、万が一失敗しても、やり直す覚悟を持つことです。
合意されたベースで課題解決策を議論すれば、議論がすれ違うことなく、解決策を決められます。
このように課題解決は『ベースを決める』ことこそが大変重要で難しいしいこととなります。ベースを決めるためには、知識と経験だけでなく、みんなを納得させるプレゼン力、さらには、関係者の人格の高さも必要となります。2600年前にブッダは、諸行無常の世の中を幸福に生きるためには、八正道を実践するように述べましたが、幸福に生きていくことは、いろいろな課題解決をうまくやっていくことにほかなりません。つまり、八正道の実践とは、課題解決する上での『ベースを決める』ための指針を述べたものといえます。
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