外交と軍事について

今日は日本記者クラブのYouTubeで『「中国で何が起きているのか」(20) 益尾知佐子・九州大学大学院教授 2024.10.23』というものを視聴しました。その中で益尾先生の見立てでは、現在の中国では習近平国家主席の権力が強くなりすぎ、周りの官僚たちが都合の良い情報だけをエスカレートさせ、正しい情報が入らなくなっている状況だと説明されていました。

これは、大変危険な状態ではないかと小生は思うのです。最近ではロシア、中国、イラン、北朝鮮という専制国家が連合して自由民主主義社会に対して破壊を挑んでいます。彼らの企ての根本的な原因は恐怖ですが、その恐怖とは現体制の崩壊に対する恐怖だと小生は考えています。人権重視の民主的な思想は専制国家にとって大変危険なものであり、そのため、自由民主国家、もしくは、国内の自由で民主的な動きに対して強力に排除します。

ロシアはNATOの東方拡大がウクライナ侵攻の原因だと言っていますが、それは小生の考えでは間違いです。この原因は、ウクライナが自由で民主的なEUにある、同じスラブ人国家であるポーランドの発展を見て、専制的なロシアより自由で民主的なEUに近づきつつあることが、いずれロシアも同じ流れで現体制を脅かすことへの恐怖から、ウクライナの自由で民主的な動きをやめさせ、完全にロシアの傘下に置こうと企てたものです。

しかし、そのきっかけはプーチンの誤った情報による判断です。ロシアでは、プーチンの権力が強くなりすぎて正確な情報が上がってこなくなり、ウクライナは1週間で制圧できるという誤った情報をもとに判断した結果が、すでに3年近く続く泥沼の戦争へと突入してしまいました。

ここでは、習近平がウクライナ侵攻を決断したプーチンと状況がかなり似ているということに注目したいと思います。専制国家の危険なところは、独裁者の判断ミスで、本物の戦争が簡単に起きてしまうことにあります。そして判断ミスが起きやすい状況であることです。

北朝鮮では、ウクライナ戦争に大規模な兵力を送っているようです。これも金正恩の明らかな判断ミスです。北朝鮮が明らかにレッドラインを越えてしまったことになります。ロシアが戦争に負ければ、北朝鮮はその責任を負うことになりますが、その責任を負うことはできず、世界に対して戦争をするか、体制が壊滅するかの選択肢しかなくなるでしょう。

今週行われる衆院選挙では、共産党の田村委員長が防衛強化に反対し、外交で平和な国を作ると言っていますが、これは国際関係を全く理解しておらず、まったくの亡国論と言わざるを得ません。日本が戦争をするかしないかは、日本だけでコントロールできることではありません。それは、ウクライナ戦争がウクライナを含む西側諸国の戦争回避の外交努力でも避けられなかったことを見れば明らかです。外交は軍事力、経済力、文化力などと一体のものです。特に戦争回避においては、軍事力は大変重要なカードとなります。このカードの重要性は相手の軍事力と比例するものです。

戦後日本の平和が保たれたのは、平和憲法のおかげだと考える日本人も多いですが、小生は、日米安保条約による米国の強力な軍事力と日本の経済力があってこそであり、憲法とはあまり関係なく、ましてや外交だけでなんとかできたわけではありません。

米国の軍事力が相対的に低下した今日において、強力な専制国家が3か国も隣接する日本は極めて危険な状況にあります。そして、それら専制国家の独裁者には、正確な情報が伝わっていないという状況です。

この現実を日本の政治は正確に理解し、国民に正しく伝えることが重要です。


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