2024年1月9日に民間有識者で作る「人口戦略会議」(議場:三村明夫氏)が政府に提言書「人口ビジョン2100」を提出しました。この提言では、目指すべき姿として「安定的で、成長力のある8000万人国家」を目指すということです。

2100年の日本の姿は誰も正しくは予想できないので、いろいろな意見があってもいいと思います。しかし、国家として目指すべき方向として今回の提言にはがっかりせざるを得ません。

まず、2100年、つまり約80年後に世界はどうなっているのでしょうか?今までの歴史の流れから、人権が今より尊重され、民主的な社会が広がっていると予想されます。そういう前提に立てば、日本は、人権や民主社会の中で世界をリードしていくことが、日本の国益と世界の利益に合致すると考えます。

当然日本だけでなく、同じような価値を持つ国々と協力しながら世界をリードしていくことになると思います。

世界をリードしていくためには、経済も人口も常に世界のトップクラスにいることが重要です。これは、覇権を目指すのとは違います。日本人が豊かで幸福に生きるためには、世界を豊かに幸福にしていく必要があるためです。しかし、国家の価値観は押し売りはできないので、日本に対し攻撃をしてくる国もありますから、自らを守れるようにしておく必要もあります。

そう考えたときに、日本が2100年といわず、今からやらねばならないことは、たくさんあります。すでに取り組んでいることもありますが、例えば、以下のようなものではないのでしょうか?

  • 教育改革
    • 世界をリードするために、豊かでユニークで多様な人材を多く育てる。(これはエリートを育てるだけのことを言ってはいません。落ちこぼれが出ないことも大変重要です。)
  • 人口減少対策
  • 移民対策
  • 産業革命
    • エネルギー革命、デジタル革命、AIの活用など
  • 政治改革
  • 食料革命
  • 気候変動対策

などなど、いくらでもあるのですが、これだけいろいろなことをやるのに、人口はいくらいても足りません。逆にどんどん新しい産業が興りますので、人材をどんどん育成する必要があります。

こう考えると、提言で述べている、「安定する」ためには世界をリードする必要があります。リードしていないと、異なった価値観の国の影響を受け不安定になるリスクが高まります。また、「成長する」ためには、人材が必要です。ICTの発展により生産性は上がりましたが、人材は多く必要となりました。つまり成長するためには、現在の人口でも足りません。

なぜ、今回のような提言になってしまうのかというと、現時点の普遍的なものが変化しないと考えているからです。世の中は、諸行無常で、すべてが変化していきます。江戸時代には当時の普遍的な価値観があり、それは、変わらないものとみんな考えていました。しかし、異国から新たな価値観がやってきて、明治維新のように革命的に社会を変えることとなりました。第二次世界大戦後も同じように大きく社会が変わりました。現在の価値観をベースに考えると、世の中の変化に遅れていく可能性が高まります。世の中の変化を前提に自身も変化していくことが大事です。2100年の日本は、国家という形態があるのかどうかもわかりません。例えば、日本、韓国、台湾でアメリカを入れた連邦国家になっているかもしれません。重要なのは、正しい方向で進化していくことです。そして、正しい流れをリードしていくことなのです。

「正しい方向」、「正しい流れ」とは、ブッダが八正道で述べているように、他には迷惑をかけず、他を気傷つけることなく、ユニークで豊かで幸福な社会を目指す方向であり流れを示しています。そして、日本がそれをリードすることこそが2100のビジョンであるべきです。


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